依頼は日本国内に限らない。国内から国外への依頼もあれば海外から国際電話で依頼が来ることもある。 当然パスポートもスタンプが隙間なくびっしり押されている。
今回の依頼は国別でも韓国・アメリカ・フィリピンなどの国と共に常に上位のタイ王国。 タイ王国関連の依頼はここ数年非常に多くなり、その内容も駐在員の現地妻調査・日本在住タイ人の実家調査に始まり行方調査・在タイ日本企業の企業内問題・取引・その他と多岐にわたる。 タイ王国には現地に車両・機材等を配備していついかなる依頼にも対応できる様、体制が整っている。 タイでは日本と違い一般道でも日本の高速道路以上にスピードを出すので高性能車が必須である。MのチョイスはBMWである。 日本の様にポルシェをチョイスしてしまうと路面の状況があまり良くないここタイでは車両の底を擦ってしまい、かなり不利なのである。
今回は依頼者の婚約者(タイ人女性)の信用調査。実家・親兄弟・以前の交友関係・男性関係を徹底的に洗う。
ドンムアン国際空港(バンコク)に出迎えに来たドライバーと共に拠点に程近いなじみのレストランで食事件打ち合わせへ。拠点駐車場に停めてあるBMWは常に点検整備されている。 打ち合わせを終え、コーヒーを飲む暇もなくドライバーズシートへ。ここから先はMは運転手を付けない。運転に関しては自分の腕が一番信用できるのだ。全て調査が終わった時、初めてスタッフがハンドルを握ることになる。
対象者の実家はピチット(北部)。バンコクからは約600km。 5時間といったところか。ピチットへは一般道をひたすらぶっ飛ばすことになる。地方の国道は日本と違い夜間照明がないので真っ暗な中を走ることになる。そこで午前3時くらいにバンコクを出発すれば夜間照明がない地方に入る頃には夜があけてくるのだ。
実は、日本と違い、ここタイでは夜間の走行は様々な理由から推奨されない。というよりはまず走らない。24時間いつでもどこでも安心して車で出掛けられる日本がいかに安全な国なのかがよくわかる。
ここタイでは長距離を走る場合、通常は夜になるとホテルを探してそこに泊まり、夜が明けて明るくなってから再出発するのが常識なのだ。安全がタダで、なおかつ当たり前と思っている日本とは随分勝手が違うのだ。トイレや夜間オープンしている店などもない。
ただしMはそんな夜間走行にも熟練している。
時間や道程、そこまで計算しつくされたうえでの航空便チョイスなのだ。
<続く>

